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〜 関東バス 終点巡り 〜

社会交通工学科3年  長谷川 浩

*前書き*

 まず,「関東バス」とは,都内の城西地域(主に中野区・練馬区・杉並区など)を中心に運行し,関東バス(株)が営業するバスのことである.栃木県宇都宮市にも「関東自動車(株)」が営業する「関東バス」が走っているが,全くの別会社であり,しばしば間違えられることも多い.また子会社として「ケイビーバス」があり,一部路線の移管ならびに丸山営業所の管理委託をしている。但し,基本方針は関東バスと変わりはなく,バスの車体の色や車種などは全く同じである.
 この「関東バス」だが,地域密着型の路線が非常に多いため,日常生活には欠かせないバスである.しかし,密着し過ぎ(?)の為か,狭隘な道路を走る路線が数多くある.小型車や中型車を積極的に導入しているものの,利用者の多い路線は,超狭隘な道路でも堂々と大型車が走る.さらに,狭隘の道路に,狭隘なバスの終点(バスターミナル・折返場)を設けている所も多く,無理矢理バスが走る光景にはいつも圧倒される.
 今回,そのような特徴的な関東バスの終点(折返場)について全ヶ所の調査をしたが,ページ数の都合上,一部のみ紹介する.写真・説明文・私のコメントで,あいうえお順に紹介していく.尚,ページ数が多い為,あまり興味のない人は流し読みしてもらって構わない.



阿佐ヶ谷営業所

 関東バスの本拠地とも言える場所である.
 主に練馬区・中野区・杉並区の境界区域のバス路線を担当する営業所であり,終日,バスが車庫に出入りする光景が見られる.
 数m歩いた場所には「阿佐ヶ谷北六丁目」バス停があり,乗務員交代はそちらで行なわれる.だが,関東バスで最も柄が悪い営業所……!?



阿佐ヶ谷駅北口

 JR中央線の阿佐ヶ谷駅の北口バスターミナルである.北口は関東バスが占拠し,それ以外のバスは南口ターミナルに停まる.
 ここから,中野,鷺ノ宮・中村橋・練馬,下井草・石神井公園の各方面へ延びる.また杉並区役所方面に行く関東バスは,北口ターミナルには入らず,中杉通り沿いのバス停に停まる.
この辺りの地域は,縦に移動できる交通手段が関東バスしかなく,バス停は終日,人で賑わっている.



池袋駅西口

 ご存じ“ブクロ”にも関東バスはやってくる.
 「池11 中野駅⇔池袋駅西口」である.中野側は関東バスのエリア,池袋の西側地域は国際興業バスのエリアとなっており,相互に共同運行することで両ターミナルへの乗入れが可能となっている.
 以前は,西口公園前に整備されたバスターミナルがあったが,再開発の為,現在は要町通り沿いに簡素な停留所が設けられている.



五日市街道営業所

 主に,JR中央線〜京王線の間の地域で運行する路線の本拠地である.朝や夜の出入庫の時間帯には,数秒おきにバスが出入りする.
 車庫は写真のほか,道路を挟んで反対側の事務所横の敷地にも小規模なものがある.ここは,喧騒とした街中にある他の関東バスの営業所とは違い,周囲を木々に囲まれた中にあり,とても静かである.



永福町




(右写真:永福町の車庫で,京王バスに混じって待機)


 バス停は,京王井の頭線 永福町駅の西側にある.ここから高円寺駅・新高円寺駅行きのバスが出ており,京王バスと共同運行している.終点の永福町では,京王バスの永福町の車庫内で客扱いし,その後,発車時間までは他の京王バスと混じって車庫内で待機する.車庫があるにも関わらず,付近の道路が三角形になっているのを利用して方向転換おり,一方通行区間の通しの乗車はできない.



江古田駅

 「江古田駅」と名乗っているが,駅前にバス停があるわけではなく,商店街を少々歩いて千川通り沿いに位置する.初めて利用する人には非常に分かりにくい.尚,その他のバス会社(都営・国際興業)のバス停は,「江古田二又」となっている.
 ここから中野駅までのバスが2系統出ており,それぞれ別ルートを通る.両系統とも,道路が三角形になっていることを利用して折返している.
 また深夜バスも運行されている.



江古田の森

 停留所名は,「江古田の森」という隣接する公園名から付けられた.バス停は,老人ホームなどが入る福祉保健施設の前のミニロータリーにある.
 以前は,「下徳田橋」というやや手前側のバス停で折返していたが,施設の完成とともに,系統も変更されて現在の場所に移転した.
 都内にも関わらず,とても落ち着いた場所にあり,一味違う関東バスの光景を見ることができる.



荻窪駅北口

 JR中央線・地下鉄丸ノ内線の駅であり,駅ビルにはタウンセブン・ルミネや西友などが入っており,乗換え客や買い物客などで賑わう.駅の改札口から上がってきて,目の前のバスターミナルが関東バスの乗り場であり,とても便利である.ただ,ターミナル内のバス停は狭く,バス待ちの為の島(安全地帯)もないので,とても危険である.
 その他ターミナル内には,荻窪駅が終点の西武バスも降車扱いの為に入ってくるが,客の降車が済むと,「お邪魔しました〜」と言わんばかりに,そそくさとターミナルから出ていく.  ここのターミナルの他,白鷺一丁目の循環系統や阿佐ヶ谷駅行きのバスは,青梅街道沿いのバス停に停まるが,本数は少ない.



荻窪団地



(左:一時的に移設されているバス停 右:交番前の道路上で降車扱い)




(左:工事現場入口の待機スペースで待機 右:本来のバス停(車が止まっている所)


 現在,荻窪団地は老朽化の為に全棟取り壊し・再建設が行なわれているため,大規模な工事が行なわれている.住居者のほとんどは付近の仮住居で生活しているため,バスの利用者が一時的ではあるが,バスの本数と利用客が激減している.また,工事の影響により,バス停や折返し場所が本来の位置より,やや離れた場所に移設されている.
 現在の工事中での折返しだが,交番前の道路上で降車扱いした後,警備員の誘導によって,“バックで”工事現場の入口にある待機スペースで時間調整する.狭い道路を通るうえに,バックで折返しという,関東バスらしい(!?)路線である.
 なお警備員は,団地付近の道路は狭く,バスがやっと通れるぐらいの幅員のため,「荻窪団地口」バス停から乗車してくる.
 また工事が終了すると,本来のバス停の位置に戻るようだ.


北裏



(右:三鷹駅から来たバスが折返している様子)


 交差点の空き地に無理やり折返場を設けたような場所である.これほど狭い場所にも関わらず,荻窪駅発と三鷹駅発の一部便がここで折返し,5分間隔ぐらいでやってくる.
 三鷹駅方面は,基本的にこの敷地内にバスが入ってから客扱いを行なうが,当停留所始発のバス以外は敷地に入らずに路上で客扱いを行なうこともある.そのほか,柳沢駅行きと田無橋場行きは道路向かい,荻窪駅行き方面・武蔵野大学行き・西武バスは青梅街道沿いに停まる.
 また,折返しの発車時間まで少々の時間がある便は,敷地内後方で駐車して待機する.



銀座

 驚く人もいるかもしれないが,実は銀座にも関東バスはやってくる.といっても,平日深夜に運行される「深夜中距離バス」がやってくる.関東バスでは,唯一の山手線内にあるバス停である.
 思いっきり関東バスの地域から外れているが、当初は都営バスと共同運行していたため,現在も銀座と城西エリアを結ぶ路線が存在可能なのである.利用客は現在でも衰えることなく,当年は存続するであろうと思われる.「銀座」バス停を出ると,「四谷三丁目」→「新宿駅東口」→「新宿西口」と停車し,新宿からは青梅街道をひたすら真っ直ぐ走り,途中いくつかのバス停に停まって行きながら,三鷹駅北口まで運行している.路線担当は武蔵野営業所となっている.深夜中距離バスのため,運賃は少々高い.



高円寺駅北口

 JR中央線の高円寺駅の北口バスターミナルである.以前は,停留所の前が違法駐輪だらけで非常に降りづらかったが,近年の駅ビル完成と共に,バスターミナルも整備され,利用しやすくなった.かつては,高円寺駅を途中停留所とする路線もあったが,今では当バス停を境に南北に分断されてしまい,北方向から来る営業便のバスは,全てここで折返す.
 関東バスにしては珍しい長距離路線の赤羽駅行きのバスも発着し,共同運行している国際興業バスもやってくる.



高円寺駅南口

 こちらは南口バスターミナルである.五日市営業所行きのバスと,永福町行きのバスは駅南口で折返している.
五日市営業所行きのバスは,ダイヤ間隔が不定期の上に本数が少ない為,やってくるのはほとんど永福町行きのバスである.
 永福町行きは京王バスとの共同運行で,関東バスと交互にやってくる.非常に狭隘な道を通るため,両会社とも小型バスで運行している.



桜堤団地



(右:並列に停車して客扱いする小田急バス)


 停留所名のとおり,武蔵境にある桜堤団地の中にある.JR中央線の北側にも関わらず,この団地付近だけ,何故か小田急バスの運行領域になっている.(小田急バスの運行領域は,JR中央線より南側が基本.)
 関東バスはここで折返しとなっているが,方向転換して来た道を戻るわけでなく,団地をグルっと一周回るので,実質的には折返しでなく循環している.ただ,続けての乗車はできない.  小田急バスは,この先の団地上水端で行く.ここは途中停留所に過ぎず,関東バスが長時間停車していると迷惑…(!?)な感じである.また関東バスは本数が少なく,日曜・祝日は1日5本しか運行されない.
 尚,次停留所の「亜細亜大学北」は,ここからほんの数十mとしか離れていない.故に,利用客は全て始発の桜堤団地に流れ,全く意味不明の停留所である….



下井草駅

 西武新宿線の下井草駅バス停であり,ここから荻窪駅行きと阿佐ヶ谷駅方面行きのバスが出ている.駅前の敷地は狭いが,乗り場の配置に少々工夫がされている.写真を見てお分かりいただけると思うが,当停留所が始発のバスは奥の凹んだスペースのバス停に,途中停留所のバスは手前に停まるようになっている.狭いだけに,乗り場の配置を工夫することで,他の道路交通の妨げとならないようになっているのである.



白鷺一丁目



(右:駐車場内の折返場で発車時刻まで待機中)


 何と,ここは私有地の月極駐車場が折返場になっている.午前10時以降はバスがほとんど来ないが,平日朝は5分サイクルで始発バスが運行されているため,この駐車場内に3〜4台ほどバスが待機している.
 尚,中村橋・練馬駅から来るバスは敷地内には入らず,全便が外の道路上に停車する.またそちらの方が本数も多く,運行路線も全く被っているため、あえてここでバスを折返させる必要性が分からない….地主に利用料をいくら支払っているかは知らないが,私有地を借りてまでもバス折返場を設けなくてはいけなかったのだろうか…?





 
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